BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『デタラメ受験戦争 失われた「学びの本質」』

2023/03/31 09:00

週刊BCN 2023年03月27日vol.1962掲載

子どもの学びとは

 ある日の夜、食事を済ませて帰宅しようとしたところ、同じデザインのかばんを背負っている子どもの集団に遭遇した。

 出てきたビルの上を見ると、大手進学塾の看板があり、塾帰りの子たちだと理解した。街にはほかにも塾があり、同じような光景をよく見かける。

 学習塾の代表を務める著者は、先行きが見えない中、受験熱は高まっており、小学校低学年からの塾通いは当たり前になっていると説いている。

 我が子の将来を見据え、質の高い教育を受けさせたいと思うのは、親心としては当然だろう。しかし、本書が示す子どもや親を取り巻く実態を見ると、驚きとともに、果たしてそれで幸せなのかとの疑問が湧いてくる。

 親には、子どもに教育を受けさせる義務がある。だからこそ、子どもにとって最適な教育を模索することが求められる。

 本書は、最近の塾業界の現状に加え、日本の教育制度の課題にも言及している。

 すでに子どもを持つ親にも、これから親になる人にも、子どもの学びとは何かについて考える機会を与えてくれるだろう。
(鰹)
 



『デタラメ受験戦争 失われた「学びの本質」』
大坪智幸 著
幻冬舎 刊 990円(税込)
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