▼真新しいスーツに身を包んだ学生が、担当者の説明を聞きながら熱心にメモを取る。2024年春に卒業する学生を対象にした企業の採用活動が解禁となり、各地で同じような光景が見られるようになった。かつての自分にも、このような初々しい時期があったのかと懐かしい気持ちになっている。

▼多くの企業が経済の好転を見越して採用に積極的になっており、23年に続いて学生優位の「売り手市場」になっているという。それを示すように、各企業は優秀な学生を逃すまいと、事業内容に加え、福利厚生の充実ぶりをアピールしている。説明を聞いてくれた学生に対し、豪華な粗品をお土産として渡す企業もあるようだ。

▼この3年で、企業の間ではITの導入が進み、利便性は向上した。しかし、社員のつながりは以前に比べて希薄になりやすくなっており、オンライン中心だったコミュニケーションを見直す動きがＩＴ業界でも広がっている。

▼間もなく23年卒の学生が社会に出る。働き方は大きく変わっているが、新入社員が緊張や不安を感じているのはいつの時代も同じ。1年目の状況を思い出しながら、変化に合わせた対応で丁寧にサポートしてもらいたい。（鰹）