苦境に直面するノリ養殖

　2月3日の節分では、恵方巻きを頬張った人も少なくないだろう。巻き寿司をはじめ、おにぎりや佃煮、磯辺焼きなど、日本の食文化に欠かせないと言えるノリだが、今年は記録的な不作になっているという。東北から関東、九州までどの産地も収穫量が激減しているそうだ。

　原因は海水温の上昇、少雨に起因する山林から海に流出する栄養塩の減少、赤潮の発生など、いくつか挙げられているが、いずれに対しても明確な対策は打ち出せていない。ノリは海でつくられるが、海には川を通じて山の土壌から栄養が流れ込む。そのため、生育に関わる要因は複合的なものとなる。打ち手がすぐに見出せないのは仕方がないのだろう。

　過去には有明海でAIやIoT、ドローンなどを活用し、ノリ養殖の品質や収穫量の向上、病害対策などにつなげる実証実験が行われていたものの、実用には至っていないようだ。最新技術といえども、自然相手では思うような成果は挙がらないのかもしれない

　近年はグリーントランスフォーメーションの動きが広がっているが、こちらも気候変動や異常気象にどこまで効果的なのかは不透明な部分もある。とはいえ、諦めていても何も変わらない。少しでも前に進める取り組みに期待したい。（無）
 

由来
海苔（ノリ）の養殖業者らでつくる全国海苔貝類漁業協同組合連合会が1966年に制定。702年（大宝2年）1月1日施行とされる日本最古の成文法典「大宝律令」において、ノリが租税品として表記されていたことにちなみ、施行日を西暦に換算した2月6日に定めた。