▼ＩＴベンダーのトップを対象にした「新春インタビュー」を読むと、２０２２年を「いい年だった」「順調だった」と振り返る声が多い。ユーザー企業のＩＴ投資は堅調に推移しており、コロナ禍で急速に高まったデジタル化の需要が根強く続いていることがうかがえる。

▼ＩＴ業界にとっては追い風が続いているといえるが、将来に向けて不安要素がないわけではない。とくに人材不足は深刻な状況で、23年の注力領域として「育成」や「採用」といった人への投資を挙げるベンダーは少なくない。

▼厚生労働省が22年末に発表した人口動態統計速報によると、同年１月～10月の出生数は66万９８７１人だった。統計を取り始めて以来、過去最低のペースで推移し、年間の出生数が初めて80万人を下回る可能性が現実味を帯びている。

▼業務効率化や生産性向上の面で、ＩＴが果たす役割は大きくなっている。ただ、いくら需要があっても、供給する人がいなければビジネスは成立しない。これからも人口の減少が続くと予想される中、人の重要性はより高まっていくだろう。23年以降も笑顔で１年を振り返るためには、各ベンダーにとって大きな課題となりそうだ。（鰹）