BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』
2023/01/13 09:00
週刊BCN 2023年01月09日vol.1952掲載
人口減少で社会は大きく変わる
国内では人口の減少が長年の課題とされている。人口減少が進むことで、各産業の市場規模の縮小、労働者不足など、さまざまな問題が起こる。当然、税収も減ることから、社会全体で解決に向け動かなければならない。本書は、人口減少が将来的に、製造業や農業、インフラなどの産業にどのような影響を与えるのかを論文や統計データを基に考察した一冊だ。IT業界の場合、現在でも足りていない技術者がさらに不足。加えて、老朽化したシステムの運用やメンテナンスといった仕事を少ない人数で行うため、最先端の技術を学ぶ機会が減ると指摘している。また、2043年には水道料金は現在と比較して1.4倍になるといった日々の生活に直結する予測も数多く紹介している。
後半では、「残す事業」と「やめる事業」を仕分けし、残す事業に人材や資本を集中させて、組織としての持続力、競争力の向上を図るなど、企業が人口減少社会の中で、どういった対策を講じる必要があるのかを示している。
著者の主観ではなく、根拠となるデータが用いられているため、説得力のある内容となっている。現実と向き合った取り組みを早急に行う必要性を痛感した。(帆)
『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』
河合雅司 著
講談社 刊 1012円(税込)
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