BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『ほんとうの定年後「小さな仕事」が日本社会を救う』
2022/11/18 09:00
週刊BCN 2022年11月14日vol.1946掲載
早い段階から備えを
組織で働いている以上、誰もが迎えるのが定年だ。しかし、定年後の生活は漠然としており、多くの人は実態を理解していないだろう。本書は、定年後の仕事に焦点を当て、収入や支出などのリアルな実態を解説する。少子化の進行で高齢者の社会参加が必要になっている。昨年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業では70歳までの就業機会の確保が努力義務となった。
定年を迎えたら働くのを止めて、人生をおう歌する時代はもう終わったと言っても過言ではない。著者の「定年後も働き続けることは『当たり前』になっていくだろう」との言葉にはうなずけるし、既に定年後も働くことを考えている人は多いのではないだろうか。
本書では、収入や生活費、貯蓄など、定年後の仕事に関する「15の事実」を取り上げている。中には、60代からの能力の低下や、50代で一変する就労感などに関する章もあり、現役世代にとっても読み応えがある。
定年はまだ先と思っていても、時間はあっという間に過ぎていくと諸先輩から聞いている。定年後の人生を豊かにするためには、直前に慌てるのではなく、本書などを参考に早い段階から備えておくことが重要になるだろう。(鰹)
『ほんとうの定年後「小さな仕事」が日本社会を救う』
坂本貴志 著
講談社 刊 1012円(税込)
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