BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『マスクを外す日のために 今から始める、ウィズコロナの健やかな生き方』

2022/10/14 09:00

週刊BCN 2022年10月10日vol.1941掲載

状況を問い直す大切さ

 コロナ禍もすでに2年以上が経ち、テレワークの普及など新しい日常が形作られるようになって久しい。感染拡大を機に普及した事柄には、すっかり当たり前の習慣として定着したものも多い。特にマスク着用はコロナ禍を象徴する習慣となった。屋外では、会話が発生しないなど多くの場面で着用を求められなくなったが、屋内では依然としてマスクが原則だ。

 本書で著者はマスクを着けることによるメリットとデメリットを、一度天秤にかけてみることが重要だと説く。メリットは感染防止だが、デメリットとしては、酸欠状態が引き起こす思考力や記憶力の低下、頭痛が起きやすくなることに加え、免疫力が落ちる可能性もあるという。感染予防を目的としているのに、免疫力が落ちてしまうのは避けたいところだ。

 もちろん、マスクによる予防が一定の効果を挙げてきた事実はある。安心を得るために、今後もマスクを着ける選択をしても、何も問題はない。ただ、感染によって自他が被る影響と、マスクを着用し続ける影響について、それぞれのリスクを考えることにも価値はあるはずだ。マスクの是非は置いておくとしても、自身が置かれている状況を冷静に受け止め、問い直してみることの大切さを本書は示している。(石)
 


『マスクを外す日のために
 今から始める、ウィズコロナの健やかな生き方』
和田秀樹 著
幻冬舎 刊 990円(税込)
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