やり方は人それぞれ

　「ロマンとそろばん」は、ソフト会社CEOを務める著者が10年にわたって連載したコラムを編集し、本にしたものだ。第2弾である本書では、全100回のコラムのうち、後半の48回を収録している。「ソフト会社CEOの独り言」というキャッチフレーズ通り、著者が日々考えていることを等身大の言葉で文章化しており、話題は多岐にわたる。

　特に印象に残っている話がいくつかある。第53回「ホワイトデーを楽しむ」や、第60回「Happy Birthday to me!!」もそのうちの一つだ。ホワイトデーのお返しを吟味する姿や、社員からの誕生日のお祝いを心から楽しむ様子がつづられている。ラフでありつつ、共に過ごす人たちを思って真剣に行事を楽しむ姿からは、著者の粋な人柄が伝わってきた。

　私はイベントそのものに対して、特に積極的とは言えない。どちらかといえば、イベントの空気感を楽しいと感じるほうで、必ずしも当日のイベントに自分が参加しなくてもいいと思っている。本書からは、イベントを含め、日々を楽しむ著者の姿が見て取れる。それでいて、人それぞれのやり方で面白く生きよう、と読み取ることもでき、自分のことを肯定してくれているように感じられる一冊だった。（留）
 

『続・ロマンとそろばん』
高橋啓介　著
インプレスR＆D　刊　2420円（税込）