BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『100年後にはみんな死んでるから気にしないことにした』
2022/08/12 09:00
週刊BCN 2022年08月08日vol.1934掲載
HSPを肯定して生きたい
HSPという言葉をご存じだろうか。Highly Sensitive Personの略で、視覚や聴覚などの感覚が過敏で、人一倍感受性が豊かな人のことを指す。この気質を持つ人は、他人の気分に引きずられやすく、刺激を受けやすいなどの特徴がある。そのため、日常的にストレスを感じやすく、気疲れしてしまうことが多いのだという。本書では、HSPの著者が、「常に何かを気にしてしまう」半生と向き合う様子が描かれている。HSPにとって、気にしないことは難しい。人から嫌われることを必要以上に怖がったり、店員に勧められると断るのが申し訳なくなり不要なものまで買ってしまったり。彼らにとって苦悩の種は、日々の中にいくつも転がっているのだと知った。
しかし、ネガティブな面ばかりではない。ほかの人が見逃してしまうような小さなことに気づき、より優しく人に寄り添うことができる。深く感動できることもポジティブな面と捉えられる。「HSPを肯定して生きていきたい」との著者の言葉には心を打たれた。
本書は、著者の具体的な体験に基づいて語られているため共感しやすく、初めてHSPを知る人にも読みやすい一冊となっている。HSPに対して理解を深めるために、一度手に取ってみてはいかがだろうか。(留)
『100年後にはみんな死んでるから気にしないことにした』
なおにゃん 著
KADOKAWA 刊 1430円(税込)
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