今日のひとことWeb版

人の目と機械の目の協業

2021/12/13 10:00





 「取引先から購入したと装って偽の領収書を提出」「業務委託先への支払いを水増し」「明細書に修正テープを貼って証拠隠滅」「会合を開いたとする虚偽の名目で請求」……ニュースサイトの検索キーワード欄に「経費 不正」と入力すると、このような記事が次々と表示されます。企業、公共機関、大学など、あらゆる組織で経費の不正支出が起きていることが伺えます。

 そのような不正を防ぐため、課長、部長、経理担当者などが経費申請の内容に目を光らせているわけですが、組織に所属する人の大多数、おそらく99%以上の人々は善良な社員・職員であり、申請の中に含まれる不正支出はごくごく一部に限られるはずです。そのごく一部の不正を発見するために目視での確認作業が発生しているのであれば、こんなに非生産的なことはありません。

 事務仕事を手作業で処理するのが当然だった昔とは違い、今は人手を増やすことが難しい一方で、テクノロジーの助けを借りられる時代です。特に大量の申請が発生する大企業では、人の目による全件チェックから機械の目による不正検知にシフトする必要があるでしょう。人の介在が少なくなることで、不正の見逃しが増えることを心配する声もあるとは思いますが、一定以上のリスクが含まれる申請だけを抽出して管理者が詳しくチェックする方が、全体の不正件数・金額は小さくなることが期待できます。(日高 彰)

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コンカー/日本IBM/デロイト トーマツ リスクサービス 経費精算の「承認」作業を不要に カラ出張などの不正を自動検知
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