BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『マル暴 警視庁暴力団担当刑事』
2021/12/10 09:00
週刊BCN 2021年12月06日vol.1902掲載
「マル暴」が解説する暴力団の実態
一般の人は普段の生活の中で暴力団とかかわることはないだろうし、あっては一大事だ。一方、昔から暴力団をテーマにした映画やドラマには一定の需要がある。かかわりたくはないが、エンターテインメントとして刺激的な世界を少し覗いてみたいという気持ちを持つ人が多いのだろうか。本書では、警視庁で約40年間、暴力団犯罪を専門とする捜査員「マル暴」を務めた櫻井裕一氏が捜査に携わった事件を基に暴力団について解説している。本の帯には櫻井氏の写真が掲載されているが、独特の雰囲気が目を引く。これも一種のブランディングと言えよう。
ルポライターが書いた暴力団関連の本は多くあるが、捜査員自らが執筆するケースは珍しく、その内容には驚かされた。実際の捜査手法や取り調べの様子などが詳細に書かれており、暴力団の実態と凶悪性が分かる。
現在、暴力団の構成員はピーク時の4分1となる2万5900人までに減少した。法律が整備されたこともあるが、危険を顧みず捜査に尽力しているマル暴の存在も忘れてはいけない。
日常とはかけ離れた内容で仕事に役立つとは言えないが、刺激には事欠かない1冊だ。(帆)
『マル暴 警視庁暴力団担当刑事』
櫻井 裕一 著
小学館 刊 946円(税込)
- 1