北斗七星
北斗七星 2021年12月6日付 vol.1902
2021/12/10 09:00
週刊BCN 2021年12月06日vol.1902掲載
▼政府は、新型コロナウイルスワクチンの接種歴や検査結果の陰性の確認を行うことを条件に、飲食店やイベント会場などでの行動制限を緩和する方針を示している。しかし、接種歴を簡単に確認できるアプリの開発・提供については、あまりうまくいっていないように見える。
▼政府のワクチン接種記録システムには最も信頼性の高い情報が集約されていそうに思えるが、実際には予診票の回収遅れによる未入力や、OCRに起因する番号の誤入力などが発生しているという。東京都は独自のアプリを提供し、登録した人には特典を設けて接種歴の利用促進を図っている。だが、アプリの登録作業は、接種済証の写真を人の目で確認するという人海戦術で行われている。デジタル技術の裏側では、時間とコストが浪費されている形だ。
▼こういった問題の発生は、ワクチンの接種自体を優先したために致し方ない面もある。デジタル庁の旗振りでシステムが整理されることを期待したいが、アプリはすぐに提供できたとしても、データの集約や修正には相当の時間がかかると予想される。混乱の中で迅速にシステムを整備することがいかに難しいかを物語っている。(螺)
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