▼ＮＴＴドコモの携帯電話網で先月、通信速度の極端な低下や、通話の発着信が行えなくなるなどのネットワーク障害が全国的な規模で発生した。約１００万人の契約者が２時間以上にわたって通信できなくなったほか、回復後も多くのユーザーが通信しづらい状況が継続。障害発生からその影響が完全に解消されるまでには実に29時間を費やし、役員８人が役員報酬の一部を自主返納する事態となった。

▼同社は11月10日に総務省へ事故報告書を提出。ＩｏＴ向け通信設備のリプレース中、協力会社との間で作業手順の認識に齟齬があったため、大量のＩｏＴ端末からの信号が交換機に集中する状態が発生し、事故が引き起こされたという。ＩｏＴの信号だけを規制できれば電話網全体への影響は避けられたが、そのような制御ができなかったために一般消費者の通信にも障害の範囲が拡大した。

▼このような事故は一般企業のＩｏＴシステムでも発生する可能性が十分ある。ＩｏＴに特有の負荷の傾向を熟知しているユーザー企業やベンダーはまだ多くないからだ。大量のＩｏＴ端末が一斉に牙をむいたとき、我々はそれを手なずけることができるだろうか。（螺）