▼「テクノロジーが企業の競争力を左右する時代が来た。今後はあらゆる企業がＩＴ企業になる」などと言われて久しい。それを象徴する出来事が、電気自動車大手・テスラの時価総額１兆米ドル突破のニュースだろう。時価総額ランキングの上位がＩＴ大手で占められる中、自動車メーカーとして史上初の１兆ドル企業となった。

▼半導体不足で自動車メーカー各社が減産を迫られている中、テスラは代替部品の調達に成功し、むしろ生産台数を増やしている。使用する半導体が変われば、当然ソフトウェアの改修が必要になるが、同社はソフトを内製している。ＩＴ企業としてもトップレベルの技術力を持つからこそ、急激な環境変化に対応できたのであり、外注ではこのスピード感を得ることは難しかっただろう。

▼テスラのイーロン・マスクＣＥＯは、ロケット開発で知られるスペースＸのトップでもある。そのスペースＸも評価額が１千億ドルを突破し、世界第２位のユニコーン企業となった。今後はＩＴを提供する企業に加えて、ＩＴを活用して圧倒的な競争力を手にした企業が、次々と時価総額上位に食い込んでくると考えられる。（螺）