▼グローバル企業を中心に、「カーボンニュートラル」への取り組みが活発化している。日立は50年までにバリューチェーン全体で温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすべく、約800社の取引先も巻き込んで目標を策定したという。他人事として無関心でいることはどんどん難しくなっている。

▼気候変動の本当のリスクを人類はまだ正確に把握できていない。降水量やパターンが変化すれば自然環境も変化し、ウイルスや細菌などの病原体が思わぬ経路で人の体に侵入してしまう可能性がある。永久凍土が溶け出せば、人類が免疫を持たない病原体が現れるのではという指摘も聞かれる。

▼新型コロナによるパンデミックを経て、未知のウイルスとの戦いには大きなリスクがあることを人類は学んだわけだが、思わぬ副産物もあった。経済活動の大きな停滞により、20年の温室効果ガス排出量は世界で前年比約7％減少した。ただし、パリ協定の目標達成には毎年同水準の削減が求められるという厳しい現実も浮き彫りになっている。

▼行うは難しの代表格である「発想と行動の転換」が求められている。DXを考える際の重要な視点としてもカーボンニュートラルは置き去りにできない。（霹）