▼その機能が現代の日本に必要であることにあまり異論はないだろう。デジタル庁がいよいよ発足した。初代デジタル大臣には平井卓也デジタル改革担当大臣がスライド。紆余曲折があった事務方トップには一橋大学名誉教授の石倉洋子氏を起用した。

▼日本社会のデジタル化政策の歴史は、これまでのところ成功体験に乏しい。600人の職員のうち3分の1は民間出身の人材だが、出向元や兼業先に便宜供与できない仕組みも整えるなど着実に進化していると評価できる部分はある。

▼デジタル庁が早期に機能するかは、ウィズコロナ／アフターコロナの世界で日本のポジショニングがどうなるかにも重大な影響を及ぼす。負け癖と呼ぶべきか、「どうせ今回もうまくいかない」と諦めムードの人も少なくなさそうだが、この体制で掲げたビジョンを現実のものにできたのか、しっかり監視・判断して投票行動につなげ、有権者としての責務を果たしたい。

▼オフィスを構えるのは東京ガーデンテラス紀尾井町。界隈にはかつて紀伊徳川家、尾張徳川家、彦根井伊家の屋敷があった。格式だけでなく、江戸幕府の基盤固めに貢献した進取の気風も受け継いでくれるか。（霹）