北斗七星

北斗七星 2021年6月21日付 vol.1879

2021/06/25 09:00

週刊BCN 2021年06月21日vol.1879掲載



▼冷静な議論とは程遠い喧噪の中、東京五輪が近づいてくる。コロナ禍以前に期待されていた熱狂とはかけ離れた、なんとも据わりが悪い時間が続いているが、代表選手の選出も佳境だ。

▼男子野球代表の侍ジャパンは経験のある選手を重視した印象。既成概念をどこまでも覆し続け、独自の価値を米大リーグでも示している大谷翔平選手が侍ジャパンの一員だったころが懐かしい。彼の活躍が一服の清涼剤になっているという人も少なくないのでは。それに負けない熱のあるプレーを期待したい。

▼この1年、困難な状況に適応して東京五輪を「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証し」とすべく関係者は精一杯の努力を続けてきたことだろう。だが、どこかモヤモヤが残るのはなぜか。非常時の大変さがあるとはいえ、リーダーがパッションもビジョンも前面に出さず、己の領分で限定された責任を果たすことのみに汲々とすれば、“祭”らしいダイナミズムなど生まれるわけもない。

▼東京五輪には5Gなど先進技術のショーケースとしての位置づけもある。先進テクノロジーを活用した体験を充実させるという議論がこの1年で深まったとは思えないのも寂しいことだ。(霹)
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