大企業を中心に顧客を拡大してデファクトスタンダードの地位を確立したプロダクトやサービスを提供するITベンダーが、新たな成長市場を求めて中堅中小企業向けビジネスに乗り出すというのはよくある話です。しかし、業界歴が長い方なら、そうした試みが失敗する事例をいくつも見てきたという感覚があるかもしれません。

　シスコシステムズは、そうした“通例”を打ち破りつつあるようです。同社は、2015年に日本独自の取り組みとして中小企業向けブランド「Cisco Start」を立ち上げました。これが大きな成果を挙げ、グローバルでの統一ブランド「Cisco Designed」に発展したのは昨夏のこと。中川いち朗社長によれば、日本市場はグローバルで見ても中小企業向けビジネスの成長が著しく、新型コロナ禍による向かい風に立ち向かう大きな推進力になっているそうです。

　中小企業向けビジネスが大企業向けビジネスの延長上にあるかと言えば、そう簡単なものではないことは歴史が証明しています。それでも、先進テクノロジーの恩恵を中小企業でも手軽に受けられる環境は着実に整ってきていますし、中小企業側のIT投資に対するマインドも、マクロ環境の激動とともに大きく変化しつつあると感じます。（本多和幸）

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【Key Person】シスコシステムズ代表執行役員社長 中川いち朗 顧客のビジネスの成功のためにシスコがある