▼何年振りだろうか、田舎に帰省しない正月を迎えた。帰省や旅行でかなりの人が都外に出ていってしまう東京の正月は、例年ならもっと静かなのではとも思うが、新型コロナウイルス感染症の拡大を抑えるべく、GoToトラベルは全国一律で停止、ステイホームが呼びかけられている。差し引きゼロといったところか。

▼年末年始の移動や外出がある程度抑制されたことで、そこに充てるはずだった予算を豪華なおせちに使うというトレンドも見られたという。都内の百貨店では、10万円近い高級おせちの売れ行きがすさまじかったらしい。地方出身者が自宅と実家の両方に手配し、離れて暮らす家族とリモートで年末年始の“体験”を共有しようとする動きが見られたとの報道もあった。

▼行動が制限されていても、人は自らの人生を彩る体験を積み重ねたいと思うもの。そこに新たなビジネスの種を見つけられるかもしれないし、コロナ禍によってひどく痛めつけられている業種業界が、これまで蓄積してきた資産を転用する余地があるかもしれない。どんなケースでも、カギを握るのはデジタルの活用だ。そこに寄り添うべきITベンダーの社会的責任はますます大きくなった。（霹）