BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『絶対に挫折しない日本史』

2020/12/25 09:00

週刊BCN 2020年12月21日vol.1855掲載

日本史を面白く理解する

 出張や旅行で各地を訪れると、歴史の知識が必要となる場合がある。しかし、うろ覚えの場合には、説明書きを読み、スマートフォンで調べるといった作業が必要になる。あらためて勉強をするのは少々ハードルが高いと感じている人にぴったりなのが本書だ。

 そもそも、歴史好きの人は一定数いるが、逆に自身がないという人もいる。後者について、著者は「覚える用語が多すぎるうえ、ヤマもオチもない歴史教科書に挫折してしまう」と指摘する。

 著者は社会学者であり、歴史学者ではない。あえて専門外の分野で筆を執った理由について「面白い日本史が読みたい!」という思いがあったからだ。さらに、固有名詞を連発するのではなく、全体を俯瞰できるようにするため「まるで神様のような目線で、この国の歴史を描いてみたいと思った」としている。

 本書は、通史編とテーマ史編の二部構成。歴史を楽しく学ぶ秘訣について、著者は「まず大まかに捉えること」が大切だと説いている。

 各章では、比較的短い文章で説明が書かれており、移動中などのちょっとした時間に読むには最適だろう。どの章から読んでも知識が抜け落ちることがない点もうれしい。

 内容的には入門書との位置づけだが、受験や就職試験にも役立つとされている。本書を読めば日本史の全体像をつかむことができるため、もう一度しっかり勉強したい人にもちょうどよさそうだ。(鰹)
 


『絶対に挫折しない日本史』
古市憲寿 著
新潮社 刊(880円+税)
  • 1