北斗七星

北斗七星 2020年12月14日付 vol.1854

2020/12/18 09:00

週刊BCN 2020年12月14日vol.1854掲載



▼事業環境がいずれ変わっていくことを頭では理解していても、日常の慣性に抗いきれず、茹でガエルになって淘汰されてしまうというのはよくある話だ。変化は時間の経過とともに必ず起こる。鴨長明が「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」と書いたのは鎌倉時代の話だが、この真理について大昔から理解はされていることが分かる。

▼東京都は30年までにガソリンエンジン車を新車としては販売しない方針を打ち出すという。経産省も同種の目標を既に掲げているが、都は5年前倒しを目指す。SDGsが企業経営を含む社会的活動全般の重要テーマとして再浮上している昨今、脱ガソリンの流れは世界共通。都知事のパフォーマンス的な側面を批判する向きもありそうだが、変化に対応が遅れることがいい結果をもたらすことは少ないのだから、よしとすべきではないか。

▼テレワークの拡大やゼロトラストネットワークの実現、そしてDXの取り組みは、いずれはやるべきことだと多くの人が思っていたことだが、新型コロナはその「いずれ」を現在に突如出現させた。変化のスピードを極度に早めるアクシデントが再び起こらないと考えているとしたら呑気すぎる。(霹)
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