BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』

2020/10/09 09:00

週刊BCN 2020年10月05日vol.1844掲載

“できる社員”の習慣をデータで分析

 キャスターでリモートワーク支援サービス「Caster Anywhere」の事業責任者を務め、自らが立ち上げたクロスリバーで働き方改革支援や啓発事業を行っている越川慎司氏。Office事業を業務執行役員として統括するなど日本マイクロソフトでのキャリアが長く、法人向けITビジネス関係者にもよく知られている同氏は、いまや働き方改革の識者としての地位を確立した感がある。手掛けた著書も多数だが、本書では“できる社員”の働き方のコツを、データを基に解説する。

 具体的には、クロスリバーのクライアント企業25社の協力を得て、各企業の「人事評価上位5%の社員」の働き方を詳細にリサーチすべくデータを収集。AIと専門家の分析により、上位5%の社員の共通点や、残り95%の社員との違いを抽出した。調査対象の社員のデスクに定点カメラを設置したり、ICレコーダーやセンサーを装着してもらったりするという徹底ぶりだ。さらに、抽出した「成功ルール」とでもいうべき共通点を、29社で実行してもらうという実証実験を行ったところ、上位5%の社員に限らず成果が上がり、成功ルールには再現性があることを発見したという。本書では、こうして得られたできる社員のノウハウを紹介している。

 一方で、この成功ルールは「すぐにパッと魔法のように成果が出るわけではありません」とも釘を刺す。読んで終わりではなく、成功に向けた行動実験をするためのガイドなのだとも説く越川氏。ここは大事なポイントだ。(霹)
 


『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』
越川慎司 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン 刊(1500円+税)
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