BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『もしも虫と話せたら 生きづらい世の中を生き抜く自然の鉄則15』
2020/09/18 09:00
週刊BCN 2020年09月14日vol.1841掲載
人間の大先輩! 昆虫に学ぶ人生の教訓
約4億8000年前に誕生したとされる昆虫は、約700万年前に誕生したといわれる人類にとって、地球で生きる生物としてのいわば「先輩」にあたる。その先輩から「自然の鉄則」を学ぼうというのが本書の趣旨。啓発書だが、職場の人間関係に悩む主人公・夏田太郎が、夏休みで帰省中、幼い頃に遊んだ雑木林へ入ると喋る昆虫たちに出会い、彼らの経験を聞くことで人生にも通じる教訓を学んでいく…というストーリーで構成されている。登場する昆虫たちの生態、そこから導き出される教訓が興味深い。例えば「クロオオアリ」は、アブラムシを天敵・テントウムシから守る代わりに、アブラムシから蜜をもらうという協力関係を築いているという。そこから、誰かと協力関係を築くときには、自分の利益だけを考えると、長期的にみると必ず損をする。まずは相手に利益を与え「一緒にいたい」と思われる存在になることが重要だと説くのだ。
このほかにも、太郎の前には13匹の虫たちが登場。昆虫たちの不思議な生態とそこから得られる教訓を知ることができる。
さらに見どころが、「虫ジョーク」とでも言うべきか、昆虫たちが太郎との会話の中で、「虫」にまつわることわざをこれでもかと織り交ぜてくること。思わず笑ってしまう。虫それぞれにもキャラ付けがしてあり、純粋に太郎と虫たちのやり取りを楽しむという点においても読みごたえがある。(宙)
『もしも虫と話せたら 生きづらい世の中を生き抜く自然の鉄則15』
じゅえき太郎 絵 / ペズル 文 / 須田研司 監修
プレジデント社 刊(1300円+税)
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