今日のひとことWeb版

先進性か、実績か

2020/06/08 10:00





 この春から自社の4Gネットワークを用いて携帯電話サービスを開始した楽天モバイル。基地局設備にx86サーバーとソフトウェアを全面採用し、携帯キャリアとして世界初の「完全仮想化」ネットワークを実現したことを大きくアピールしています。その楽天が早くも次の一手を打ち出してきました。携帯電話ネットワークの構築で長年の経験があるNECと組み、5Gの仮想化プラットフォームを世界の通信事業者に向けて提供するというのです。

 この発表の前後、ブルームバーグやロイターなどの通信社は、英ジョンソン政権がNECと接触を図っていることを伝えました。米中の対立が深まる中、英国はNECなどの5Gネットワークを導入することで、ファーウェイ依存度を下げる方向へ舵を切るとしています。

 楽天とNECは、各国のキャリアが自社の基盤に素早く導入できる、コンテナ型の5Gコアネットワークを共同開発します。英国が関心を示しているのも、このようなクラウド式の5Gコアである可能性が考えられます。

 ただ、楽天モバイルが国内で開始したばかりの通信サービスでは、サービスエリアやサポート体制の拡充に関して苦戦も伝えられています。仮想化ネットワークに十分な実績がない段階での売り込みは容易ではありません。実績不足を上回るメリットを、グローバル市場に向けて伝えられるかが問われそうです。(日高 彰)

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楽天モバイルとNEC、Stand Alone 5Gコアネットワーク共同開発で合意
楽天モバイル 5G導入に向けたパートナープログラム ネット企業の経験生かし新サービス創出へ
 
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