BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『習近平vs.中国人』

2020/06/05 09:00

週刊BCN 2020年06月01日vol.1827掲載

現場から中国の現実を伝える


 今や世界第2位の経済大国となった中国。日本で生活していても、中国人の生活が変わっていることを実感する。少し前には、日用品から高級品まで盛んに買う「爆買い」が話題になった。

 富を手に入れた中国人が大勢いる一方、中国国内には、多くの問題が内在する。しかし、当局による規制によって、それらが広く知られることは多くないのが現状だ。

 本書は、数年にわたって中国国内の現場を取材した記者が、官僚の腐敗や司法制度など、多岐にわたるテーマで中国の現実を論じる。

 各章では、発展のために生活を奪われた人や、中国を変えようとしている人たちが登場し、規制越しではうかがい知ることができない生の声を知ることができる。

 歴史や文化、経済など、日本と中国は多方面でつながっており、その関係は今後も変わらないだろう。重要な相手となる中国で、何が起きているのかを知るために、本書は一見の価値がある。(鰹)


『習近平vs.中国人』
宮崎紀秀 著
新潮社 刊(800円+税)
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