北斗七星

北斗七星 2019年12月23日付 vol.1806

2019/12/27 09:00

週刊BCN 2019年12月23日vol.1806掲載



▼さかのぼること数十年前のことだが、そこそこの田舎にある記者の実家では、正月に門松を飾っていた。手配や事後の処理が面倒になったのか、やがて家の外の正月飾り自体をやめてしまったが、門松を飾る家は近隣でも確実に減っている。

▼門松といえば竹を斜めに切るのが一般的だが、これは三方ヶ原で武田信玄に大敗した徳川家康が、捲土重来を期し、次は「たけ(竹)だ」を切るという決意を込めて始めたという説がある。山梨県に伝わる武田流門松は節に沿って竹を切るらしいので、信ぴょう性は高い気もする。

▼家康にとっては、意思や目的を可視化して家臣団と共有するという合理性のある行動だったと見ることはできないか。意味が薄れ形式だけが残ってしまっているような行事も、源流をたどれば当時はそれなりに合理的なものだったのかもしれない。

▼年賀状の発行枚数も激減している。若年層ほど年賀状を送らないという。デジタルネイティブな世代にとっては不合理すぎる行為ではあろう。時代の変化に適応することとは、同時代性に対する感度を高め、随時、合理性の最適化を図ることではないか、と門松づくりのニュースを見ながら考える年の暮れだ。(霹)
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