BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『若い読者に贈る美しい生物学講義 感動する生命のはなし』
2019/12/18 09:00
週刊BCN 2019年12月09日vol.1804掲載
生物学は面白い!
生物は、38億年という途方もない年月の中で進化を繰り返してきた。そして現在、地球上にはわれわれ人類を含めて約137万種の生物がいるという。これだけ壮大なスケールがあると生物を考えるときに、関わってくる観点も多岐にわたる。化学、医学、歴史、道徳……そのどれもが生物というあやふやな概念をはっきりさせる材料になりうるのだ。
本書は、「人類による生物研究の歴史」から「生物と無生物の違い」「iPS細胞による不老不死の可能性」といった生物学を巡る幅広いテーマを取り上げる解説書。そのどれもが知的好奇心を刺激する。
また、解説書といっても難解な専門用語を多用するものではなく、基本的な事実を簡潔かつユーモラスに説明する。著者の意見を押し付けるものでもない。本質に対する判断を読者に委ね、思考を促す姿勢には、研究者という立場の著者ならではの配慮が感じられる。
生物とは何か――。なかなか難解な問いだが、だからこそ面白い。読み終わる前後では世界に対する見方が多少なりとも変わっているかもしれない。(万)
『若い読者に贈る美しい生物学講義
感動する生命のはなし』
更科 功 著
ダイヤモンド社 刊(1600円+税)
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