BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『量子コンピュータの基本と仕組み』

2018/11/07 09:00

週刊BCN 2018年10月29日vol.1749掲載



物理や数学の知識がなくても大丈夫

 量子コンピューターは、実用化に向けて発展段階にあるため、基本的な説明においても数学や物理の知識が求められがちである。その数学や物理の内容も簡単ではなく、大学レベルであることから、理系出身者が多いIT業界といえども寄せ付けない雰囲気を感じずにはいられない。

 商用利用が一般的になるには、現在のコンピューターのように、基本原理の理解を不要にするOSが提供されると考えられるが、現時点では、いつ登場するかさえも見通せない。汎用OSは登場しない可能性もある。そう思うと、量子コンピューターの事業が成り立つのは当分先ということになるが、技術革新のスピードは侮れない状況にある。IT業界に身を置いているのなら、基礎とトレンドを押さえておくべきだ。

 本書は、量子コンピューターの基本的な仕組みや活用方法に加え、主要メーカーのマシンや戦略なども紹介。暗号解読やブロックチェーン、AIへの応用例もあり、幅広い知識を得ることができる。(亭)
 

『量子コンピュータの基本と仕組み』
長橋賢吾 著
秀和システム 刊(1400円+税)
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