経営者のためのAI解説書

　昨今のIT業界で「AI」という言葉を聞かない日はない。コンピュータ将棋や囲碁、スマートフォンのなかにも入っている。多くの経営者は、AIを取り入れ、どう事業を展開しようか悩やんでいる。しかし、いざ導入となると、AIで何ができるのか、どの業務にどう導入すればいいかわからない。

　本書はまさに、AI導入を検討している経営者向けのAI解説書だ。筆者は、日立製作所でIT統括本部長を勤めた経験のある大野治氏。AIに関する膨大な情報を難解な数式や技術用語を使うことなく、幅広い知識とCIOを務めたこともある経験にもとづいて、きれいに整理している。

　秀逸なのが、表紙に描かれているAI技術の俯瞰図だ。第3次AIの中核技術、そこから生まれた応用技法を、まさにAIの全貌を一枚の図で表現した。

　後半には具体的な取り組み事例、そして日本企業がとるべきAI戦略について解説する。AIとは何か、どう活用すべきか。これらの疑問に答える書だ。（海）
  『俯瞰図から見える日本型
“AI（人工知能）”ビジネスモデル』
大野 治　著
日刊工業新聞社　刊（2000円＋税）