BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『ブヒ道』
2018/01/31 09:00
週刊BCN 2018年01月22日vol.1711掲載
心の余裕が必要な時に
仕事に対し、常に高い意識を持ち続けるのは難しい。やるべきことが山積みになった時など、心の余裕を必要とする場面で読みたいのが本書だ。本書では、平和な時代に生きる怠け者の侍、太肥丘豚兵衛(たぴおかとんべえ)が、武士の教えを学びながら、のんびりと成長していく様子を四コマ漫画で描く。
軸とするのは、徳川将軍家の兵法指南役を務めた柳生宗矩に与えられた「不動智神妙録」(ふどうちしんみょうろく)。禅僧の沢庵が江戸初期に記した、剣法と禅の境地が無念無想で一致していることを説いた書物だ。
ただ、本書に血なまぐさい合戦はない。豚兵衛が楽をしようとしたり、逃げ出そうとしたりする姿は、現代人のようで実に滑稽で、肩肘を張らずに読み進めることができる。
IT業界は、常に目まぐるしく状況が変わっている。現状をしっかり把握し、次の一手を打つためには、心のありようは重要だ。本書を読んで、一息ついてはいかがだろうか。(鰹)
『ブヒ道』
小泉吉宏 著
ポプラ社 刊 (1080円+税)
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