今日のひとことWeb版

規制に揺さぶられる外資

2017/11/17 10:00



 今週、中国のIT市場では、Amazon Web Services(AWS)が大きな話題となりました。提携パートナーである光環新網(Sinnet)が、AWS中国の資産を20億元で取得すると発表したことを受け、一部の媒体が「中国のクラウド事業から撤退する」と報じたからです。導入コンサルティングなど、AWS中国の関連ビジネスを提供する日系ITベンダーにも一時、ユーザーからの問い合わせが急増しました。

 ただ、実際は中国のインターネット規制に対応するための措置。中国の規制では、もともと外資系企業は単独でクラウドサービスを提供できず、AWSは光環新網と共同で事業を展開しているわけですが、インフラをAWS側で所有することが望ましくないため、その一部を光環新網に売却するというのが今回の内容。中国のユーザーはこれまで通りサービスを利用できます。

 撤退は事実ではなかったわけですが、いずれにせよ、AWSを含む外資系ITベンダーにとって、中国のインターネット規制が事業を推進するうえで足かせになっていることは間違いありません。今年6月には、ネット統制を強化する「サイバーセキュリティ法」も施行されました。中国政府は、「全面的な市場開放を促進する」との方針を掲げていますが、本当に実行するのであれば、もう少しネット規制を見直してもよいのでは、と思います。(上海支局 真鍋武)
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