BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『量子プログラミングの基礎』

2017/10/25 09:00

週刊BCN 2017年10月16日vol.1698掲載



高度な数学知識が必須の基礎解説本

 現在のノイマン型コンピュータが量子コンピュータに変わったら、プログラミングはどう変わるのか。これまでの経験は生きるのか。超高速な計算処理を実現する量子コンピュータ。ITの世界に身を置いているものであれば、量子コンピュータの時代になったら居場所を失うのではないかと、気になる人もいるだろう。

 残念ながら、量子力学を理解するのは簡単ではない。高度な数学の知識も求められる。ただ、プログラミングの知識があるなら、突破口を見出せるかもしれない。本書は、ノイマン型コンピュータのプログラミングを量子コンピュータに拡張することに主眼を置いているからだ。理解が進めば、「量子状態の重ね合わせ」や「量子もつれ」など、量子力学の不思議な世界を操る魅力に取りつかれるに違いない。

 本書を開いて絶望感を抱いたとしても、未来はきっとある。量子コンピュータを意識させない開発環境が、必ず登場する。(亭)
 

 
『量子プログラミングの基礎』
Mingsheng Ying 著
川辺治之 訳
共立出版(6500円+税)
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