BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『ゼロベースランニング』

2017/03/08 09:00

週刊BCN 2017年02月27日vol.1667掲載



裸足で走れば自分の弱点がみえる

  基本や常識は重要だが、こだわりすぎると型にハマって大胆に攻められなくなってしまう。とくに日本人は基本に忠実な国民性ゆえ、小さくまとまりがち。出る杭は打たれてしまうゆえ、仕方がないのかもしれないが、時には基本や常識を無視した大胆な行動も必要だ。“デジタルトランスフォーメーション”は、まさにそのためのキーワードである。

 とはいえ、それは“基本や常識”が正確であることが前提だ。信じているものが間違っていたら、役に立たないどころか、悪影響を及ぼしかねない。企業の業績が伸び悩んでいるとしたら、常識だと思い込んでいる部分に問題があるのかもしれない。そこで“基本を見直せ”、“常識を疑え”となる。

 多くのランナーは、日々の走り込みによる鍛錬によって、フルマラソンを完走している。フォームは十人十色。そこに正解はないのかもしれないが、走るときの着地方法、腕の振り方、姿勢など、基本や常識とされるものは確実に存在する。フルマラソン後半の限界を感じる時間帯でなければ、それらを意識して走っている。

 ところが、基本や常識が正しいとは限らない。その証拠が、ランナーが抱える“故障”。原因はフォームにあると、著者は指摘する。後半の失速も、フォームが原因の一つだという。

 陸上部出身の著者は、常に故障に悩まされてきた。原因を追究するにあたって、取り組んだのが「裸足で走る」ということ。「シューズに守られていたのでは、自分の弱点がみえない」。ビジネスにも通じるものがありそうだ。(亭)

『ゼロベースランニング』
高岡尚司  編
実業之日本社  刊(1300円+税)
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