▼「今年の漢字」は「金」に決まった。日本漢字能力検定協会が毎年公募により選んでいるが、2000年、2012年に続く3回目の金となった。いずれも五輪開催の年であり、日本選手の活躍が目立ったということだろう。加えて、政治とカネの問題が取りざたされたことも影響したという。

▼エンタープライズITの世界に目を向ければ、国産のITベンダーが国際舞台で金メダルを獲ったというには、なかなか厳しい状況であるといわざるを得ない。それでも、大手総合ITベンダーや大手SIerは、海外市場での活躍を強く志向し、グローバルでのM＆Aや組織変革など、さまざまな手を打った1年だった。

▼京都の清水寺で、今年の漢字の揮毫が行われるのは恒例だ。複数回選ばれている漢字については毎回書体を変えているという。今回の金は「金に見えない」という声があったのはご愛敬か。

▼かつては「金」を謳歌したビジネスモデルも、いつかは通用しなくなるのは歴史の常だ。近年の国産ベンダーの構造改革が、17年以降、大きく花開くことを期待したい。（霹）