今日のひとことWeb版

仕事がしやすい相手

2016/12/14 15:26

 先日、台湾に本社を構える産業用PCメーカー、アドバンテックの開発・製造拠点を訪れました。台北市街の中心部から車で30分。図書館や大学を思わせるレンガ作りの落ち着いた外観の建物がそびえています。しかし、セキュリティゲートを通過して中に入ると印象は一変。IoTを活用した最新の製造設備がずらりと並び、マザーボードなどの基幹部品が次々と生産されていました。メーカーの工場を取材する機会はこれまで何度もあったのですが、大都市から近い場所に、これだけの製造設備を備えているケースはあまりなく驚きました。

 日本からの報道関係者の取材に応じてくれた何春盛(チェイニー・ホー)総経理は、「日本はエレクトロニクスで大成功したが、PC以降のITビジネスにおいて最も高い収益を上げたのは米国と台湾。スマートフォンでは米国と韓国」と話し、現在の日本の大手メーカーは、本来持っているポテンシャルを発揮しきれていないと指摘します。続けて「しかし、自動車や光学機器で日本は今でもナンバーワンだし、家電にも評価が高い製品はたくさんある。高品質なコンピュータを提供できる台湾の産業とは補完的な関係にある。ともにIoTソリューションをつくり上げ、グローバルで勝負しよう」と呼びかけます。

 実は同社の製造ラインは、過去に日本のメーカーから技術者を招いたことによって、品質と生産性の大幅向上を遂げたといいます。ある意味で、日本のものづくりの心が海を渡って今も息づいている、と言えるかもしれません。何総経理は「日本の人は低姿勢で謙虚、台湾の人柄にも似ている。歴史的にも地理的にも関係が深く、ともに仕事をしやすい相手ではないか」と話していましたが、実際に日本市場向けの売り上げは世界の国別で最も高い成長率を示しているとのこと。今後、日本企業とのパートナーシップもさらに拡大・加速していくとみています。(日高彰)

【記事はこちら】
アドバンテック IoTの構成要素を提供するプラットフォームカンパニーへ転換
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2016.12.14」より
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