BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『チャットボット』
2016/11/24 15:27
週刊BCN 2016年11月14日vol.1653掲載
企業向けITがボットで変わる
マイクロソフトがAI(人工知能)プロジェクトとして、メッセージングアプリ「LINE」上で女子高生ボット「りんな」の提供を開始したとき、多くの人が失笑した。話しかけても、期待したような会話が成り立たない。そもそも女子高生という微妙な設定のため、何を話しかけたら正解なのか、多くの成人にとって扱いが難しい。マイクロソフトの狙いは、そこにあるにちがいない。簡単には得られない特異な会話データを集め、きたるボット時代に備えているのではなかろうか。ボット(bot)の意味は、ロボット(Robot)に由来する。本書では「『人の介在なしに、何かを命令すると、その命令を遂行してくれるもの』という概念やソフトウェアのことを指す」と説明している。ソフトウェアロボットの一つだが、インターネット上で稼働するものをボットとすることが多い。
なかでも、りんなのように会話でコミュニケーションするものを「チャットボット」と呼ぶ。チャットボットは、会話を楽しむほか、秘書のような役割もこなす。天気予報や終電の時間を教えてくれるほか、タクシーを呼んだり、ホテルを予約したりするなど、インターネット上で実行できることの多くを担うことが可能だ。
チャットボットの適用範囲は広い。例えばクラウド型の業務システムは、システム連携を容易にするAPIを提供しているが、それを利用すればボットがオペレーションを代行できる。操作で必要なのは、テキストか音声による会話のみ。それゆえ、企業向けITの世界を大きく変える可能性がある。(亭)
『チャットボット』
金城辰一郎 著
ソーテック社 刊(1580円+税)
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