BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『絵で見てわかるクラウドインフラとAPIの仕組み』

2016/09/08 15:27

週刊BCN 2016年09月05日vol.1643掲載

クラウドの本質はAPIにあり

 ものごとには、本質がある。本質を抑えていれば、複雑にみえることを把握しやすいし、変化にも適用しやすい。

 とはいえ、本質を見極めるには豊富な経験が必要だったり、鋭い洞察力が必要だったりして、スペシャリストとしての素養が求められる。誰にでもできるというものではない。だから、スペシャリストの著書を手に取るのである。

 では、クラウドの本質とは何か。その答えを「APIにあり」と紹介するのが本書だ。

 例えば、IaaSでは一般的にインフラ構築と管理をAPIで制御することができる。そのAPIを理解していれば、クラウドサービスのAPIリファレンスを確認することで、何を実現できるサービスなのかがわかるという。つまり、世の中にはさまざまなクラウドサービスがあるが、APIの視点であれば、各サービスや用語の違いを意識することなく活用できるというわけだ。「クラウドの本質はAPIにあり」としているのは、そのためである。

 本書が対象とするのは主にIaaSで、OpenStackとAmazon Web Services(AWS)をベースに解説している。クラウドの説明に始まり、サーバーやストレージ、ネットワークなどの制御の仕組み、そしてマルチクラウド環境の制御まで、初心者でもわかりやすいように図版を用いながら解説している。APIに興味がなくても、クラウドにおける環境構築、クラウドにおける各コンポーネントの役割などの記述があるため、「クラウドとは何か」を理解するための入門書としても活用できる。(亭)

『絵で見てわかるクラウドインフラとAPIの仕組み』
平山毅/中島倫明/中井悦司/矢口悟志/森山京平/元木顕弘 著、平山毅 監修
翔泳社 刊(2580円+税)
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