行きつけの店
週刊BCN編集部の行きつけの店
2016/04/28 19:47
週刊BCN 2016年04月25日vol.1626掲載
ああ、千円で酩酊
「角打ち」を編集部の広辞苑でひいても載っていない。他の辞書をいくつか繰って、ようやく「酒屋の店頭で酒を飲むこと」とある。それがなぜ角打ちなのかはさておき、千代田区内神田の中屋酒店である。正統派角打ちの店だ。あては乾きもの、チーズ、ソーセージに缶詰。ビール大瓶もコップ酒もありがたい価格。酒屋直営ゆえの安さ。この品のよい値段が酒飲みにはたまらない。ビールで始まる。本日の憂さも疲れもビールで六腑へ流し込む。厚板のカウンターにコップの跡。その輪が幾重かになった頃、日本酒に切り替える。常温。サバ缶の口をきってもらう。あずき色の年季の入った塗り箸。常温、もう一杯。ここらで一句。サバ缶のつゆまでつつくいじましさ。ああ、千円そこそこで酩酊。
さあ、そろそろとコップを置けば、昭和とともに歩んだおばちゃんの「ありがと」。背中にうけて巷間に漂う。駅までに誘惑は多い。神田の夜は今日も長い。(蓼)
東京都千代田区内神田1丁目17-7
第一中里ビル1F
03-3293-0788
1000円
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