BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『FinTech入門』
2016/04/28 15:27
週刊BCN 2016年04月25日vol.1626掲載
テクノロジーによる金融革命
将来は人間が働く必要がなくなる……。人型ロボットのマンガやアニメに慣れた日本人なら、子どもの頃に一度はそう思ったはずだ。現在では相変わらず人間が重要な労働力だが、もしかしたらと期待させる雰囲気が少しずつ出始めている。それはロボットとAI(人工知能)の進化である。ロボットとAIは、確実に人間の仕事を奪う。それを恐れる声もあるが、人間らしい生き方を考えると、むしろ歓迎すべきだろう。飛行機や自動車などがどんなに発達しても、多くの人が喜んでマラソン大会に参加しているではないか。同様に、AIがどんなに賢くなっても、勉強好きな人はいなくならないだろう。
働くことは、対価を得るためではなく、趣味の延長となる。ということは、現在の貨幣は不要になり、貧富の差も解消される方向に向かう。貧富の差がなければ、紛争もなくなるかもしれない。
そんな近未来の第一歩となるのが、FinTechだ。Finance(金融)とTechnology(技術)による造語である。そもそも金融業界はテクノロジーによって成り立っている部分が多いため、ぴんとこないかもしれないが、労働不要の世界の入り口だと考えれば、FinTechに対する見方が変わってくる。
この想いを本書の著者と共有できたのが、第16章。タイトルは「お金の不安がなくなる世界に」である。FinTechの注目キーワードである「ブロックチェーン」の理解も大切だが、第16章もしっかり読んでいただきたい。(亭)
『FinTech入門』
辻 庸介/瀧 俊雄 著
日経BP社 刊(1600円+税)
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