今日のひとことWeb版

AIが「万が一」を見つけ出す

2016/04/07 15:26

 今週、NECと産業技術総合研究所が共同で「産総研‐NEC人工知能連携研究室」を開設するとの発表がありました。まだまだ発展途上のAI(人工知能)ですので、AIに何か仕事を任せるとすれば、単純作業やルーチンワークが適しているのではないかと思われがちですが、同研究室では「1000年に一度の大規模災害」や「まれに起こる異常事態」をAIに学ばせるのだといいます。

 「またぞろニッチなところを狙ってきたな」と思いきや、同研究室室長の鷲尾隆・大阪大学教授は「人間では想定が難しい希有な現象を延々と“探索”させるのには、実はAIはとても適している」と話しています。

 例えば、プラントや鉄道、堤防などの社会インフラは、安全のために、“万が一”のことを想定して、多大な予算と設備を投入しているわけですが、もし、AIによって“万が一”がどのようにして起こるかを正確に割り出すことができれば、「過剰な投資を抑えたり、逆に人間では思いも付かなかったリスクとその対策を発見できる」(NECの西原基夫執行役員)と、AIのビジネスへの活用を虎視眈々と狙っていく考え。

 いくらAIが発展途上だとはいえ、ある特定の分野では、すでに人間の智恵を遥かに上回る能力を発揮する可能性がある――。AIの得意領域をうまく見つけ出し、ビジネスにつなげていくことが大切だといえそうです。(安藤章司)

【記事はこちら】
NEC、人工知能連携研究室を産総研の人工知能研究センター内に設置、産総研のシミュレーション技術をAIに活用
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2016.4.7」より
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