今日のひとことWeb版

ギャップに苦しむ

2016/02/26 15:26

 ある日系ソフトウェアベンダーの中国法人が最近、中国ローカルベンダーのパッケージソフトの販売を開始しました。同社が自社の商材以外を販売するのは初めてで、営業担当者いわく、「顧客の悩みをヒアリングしていると、自社商材以外のニーズが旺盛になっている」ことから、扱うことになったそうです。

 別のソリューションプロバイダでは、あるセキュリティソフトを戦略的な商材としていますが、同社の営業担当者は、「戦略商材を売れといわれても、実際にはニーズは多くない。現場では、その商材の営業をするふりをして、べつの商材を提案している。そのほうが受注に至る確率が高い」といいます。特定の商材を売りたい経営層と、現場のニーズに沿った商材を売りたい営業担当者との間で、思いにギャップが生じているのです。

 BCN上海支局が50社の日系IT企業を対象に2015年通期の動向を調査した結果、過半数の中国現地法人の通期売上高が、中国IT市場全体の成長率を下回ったことがわかりました。要因はさまざまですので、一概にこれとはいえませんが、少なくとも上層部と現場との連携を深めてギャップを埋めていくことは、事業拡大のうえで重要な要素であることは間違いありません。(上海支局 真鍋 武)

【記事はこちら】
日系IT企業の中国ビジネス 過半数が市場全体の成長率下回る
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2016.2.26」より
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