▼「息子が高熱で」と病院に問い合わせがあった。お母さんが連れてきた息子は四十代。病院は電話の様子から判断して小児向けの準備をしていただけに、戸惑いを隠せなかったという。

▼実話だと他人に話しても、この程度ではほとんどの人が驚かない。ダメな大人が増えたのか、日本の社会が悪いのか、輪をかけたスゴい話が次々と飛び出てくる。多様化の時代。奇行話で人をビックリさせるのは容易ではない。自分はダメな大人になっていないだろうか。

▼「裕福に育ったヤツほど使えない」とは、あるシステム開発会社社長の言葉。四十代の患者の話から、人材採用の話に飛び火した。金持ちの息子は、意欲が足りないという。さもありなんだが、簡単には括れまい。人手不足が続くIT業界。企業は積極的に採用しているため、なめた態度で面接に来る人が後を絶たないらしい。いかにして優秀な人材を獲得するかは、引き続き大きな課題となる。

▼四十代の患者は、診察後に窓口でこう言ったという。「お金はお母さんが払います」。四十代なら、ゆとり教育のせいにもできまい。（風）