「無線LANの業務使用は認めない」という企業が珍しくない時代が長らく続いていました。ほとんどの企業ではまず有線でネットワークを構築し、後からそれを無線対応に拡張したため、モバイル機器を管理する仕組みはどうしても後付けになります。セキュリティを確保するためにはインフラが複雑になり、どこかに設計・設定のミスがあると、組織の管理下にないデバイスが接続されてしまったり、本来許可していないアプリケーションが使われてしまったりといった問題が発生します。
しかし、タブレット端末の業務利用があたりまえになり、有線LANポートがついていないノートPCも増えていることから、無線LANを有効活用して生産性を上げたほうがいいという考えの企業が増えてきました。昨年発表された、ヒューレット・パッカードによる無線LANベンダーであるアルバネットワークスの買収も、その潮流を裏付ける動きの一つ。先日、日本法人でも事業統合の完了が正式に案内されましたが、有線・無線のネットワークを一つのインフラとして管理するというコンセプトが強調されました。
興味深いのは、人事面も「モバイルファースト」の方針に沿ったものになっている点です。日本ヒューレット・パッカードで新たにネットワーク事業統括本部長に就任した田中泰光さんは、これまではアルバネットワーク日本法人で国内事業の総責任者を務めていました。外からやってきた無線ビジネスの人が、新たにネットワーク事業全体を統括する立場に就いたということからも、ヒューレット・パッカードが無線インフラを重要なものとしてみていることがわかります。(日高彰)
【記事はこちら】
ヒューレット・パッカード ネットワーク事業もモバイルファーストへメールマガジン「Daily BCN Bizline 2016.2.10」より