BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『世界最強人事』

2015/12/17 15:27

週刊BCN 2015年12月14日vol.1608掲載

日本発の人材マネジメント

 グローバル競争で勝つ“日本発”の人材マネジメントを外資系企業、SAPジャパンの人事・人財ソリューション部の部長を務める南和気氏が紹介する。

 本書のタイトルからは、SAPのグローバルな人事戦略を紹介する本をイメージするが、サブタイトルの“日本発”で裏切られる。一方で、まえがきでは「グローバル化が進むなかで、人事部門だけが取り残された」とし、日本企業の人事が根本的に変わらない限り、日本の経済は今後も停滞を続けると警告する。日本企業の人事をもち上げているわけでもない。

 プロフィールを確認すると、欧米企業のグローバル人事を日本に適応させた「日本型タレントマネジメント」を雑誌で連載したり、「グローバル人材フォーラム」を開催したりするなど、その道のプロであることがわかる。ただ、きっかけは、SAPの人事システムが欧米で売れているのに、日本で売れなかったことにあるようだ。

 それはともかく、本書は日本企業の人事に関する問題を指摘しつつも、そのあり方に一定の理解を示し、日本企業に最適なグローバル人事を模索している。海外のグローバル人事も完璧ではないといった指摘も、説得力を強めている。

 後半では、日本企業でグローバル人事の取り組みに成功しているコマツ、コニカミノルタ、LIXILグループなどの人事担当者との対談を掲載している。人事関連の取り組みは、なかなか表に出ないだけに、参考になることも多いだろう。対談からは、人事担当者がグローバル化を楽しんでいることがわかる。“楽しくなければ人事じゃない”である。(亭)


『世界最強人事』
南 和気 著
幻冬舎 刊(800円+税)
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