▼12月1日に、ユーキャン新語・流行語大賞が決まる。テレビのニュース番組で、ノミネートされた50語のなかから「ミニマリスト」に注目して、実際にそうしたライフスタイルを実践している人の生活を紹介しているのをみた。夫婦と小・中学生の子ども2人という4人家族の生活ぶりは、確かにミニマルだった。

▼家には最小限の家具しかなく、食事はキッチンカウンターでとる。お母さんは料理をしながら食事をするため、椅子は三つしか置いていない。机の類はどこにも見当たらず、お父さんがノートPCを床に置いて使っていたのは侘しさを感じさせたが、余計なお世話か。ただ、子ども部屋までミニマリズムが徹底され、余暇は床に寝そべりながらスマートフォンで遊ぶというのは健全だろうか。

▼ミニマリストは本来、自分の資産を整理することで豊かさの本質を追究しようとしているのだろうが、何でもかんでも捨てなければならないという強迫観念に支配されてしまっているとすれば、豊かさの本質からは逆に遠ざかってしまうのではないか。そうはいっても、資料で溢れる自分の机の現状をみれば、少しは彼らを見習うべきなのかもしれない。（霞）