BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『ヒットを生み出すインスピレーションの力学、共感という魔法』
2015/12/03 15:27
週刊BCN 2015年11月30日vol.1606掲載
アイデアをかたちにするヒント
ヒット商品をつくりたい。IT業界においても、パッケージ商品を手がける企業なら、そう願っているはず。SIerでも、システム開発だけでなく、パッケージシステムとの両輪でビジネスを展開するというのは、よくあるケースだ。では、どうしたらヒット商品を生み出すことができるのか。そのヒントを与えてくれるのが本書である。
著者は、東映やディズニーなどでおよそ30年間、映画の配給ビジネスに携わり、「アルマゲドン」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「カールじいさんの空飛ぶ家」など、数々のヒット映画を手がけてきた。人は成功すると自信を得る。それを積み重ねると、ノウハウになる。
一般のビジネスからしたら、映画配給ビジネスは特殊な世界だが、アイデアの創造力やコミュニケーション力は共通するとして、著者が培ってきたノウハウから、ヒットを生むための56のヒントを紹介している。なかでも、プレゼンテーションのノウハウに関しては、IT業界でもよくある機会だけに参考になるのではないか。著者はプレゼンの場では、一方的に話すのではなく、インタラクティブな場をつくることに注力しているという。「みんなが参加する意味を見出し得る場ができれば、かなりの部分は成功」とのこと。さっそく、取り入れてみたい。
ちなみに、本書の冒頭で紹介しているマンガ雑誌「週刊少年ジャンプ」のヒットの法則も興味深い。それは「友情」「努力」「勝利」の三つ。まずは、このようなわかりやすい法則をつくることが大事なのかもしれない。(亭)
『ヒットを生み出すインスピレーションの力学、共感という魔法』
鈴木英夫 著
アスペクト 刊(1620円+税)
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