BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『スマートマシン』
2015/11/19 15:27
週刊BCN 2015年11月16日vol.1604掲載
本当に豊かな社会がやってくる
機械が人間の仕事を奪う。産業革命以降、何かと議論の的になってきた。コンピュータが職場に導入されたときも同じだった。「俺らの仕事を奪う気か」と、電算化が始まった地方自治体で職員が猛反対する動きもあった。そして、最近ではAI(人工知能)が人間の仕事を奪うのではないかと注目されている。調査会社のガートナーは11月2日、「2018年までに300万人以上の労働者の上司がロボットになる」と発表した。ロボットが上司かどうかはともかく、人間がロボットに使われることを意味する。上司に反抗したら、どのような対応をするのだろうか。いずれにせよ、何とも厳しい時代になりそうだ。
そのAIを搭載した機械(ロボット)が「スマートマシン」だ。ガートナーは2013年、スマートマシンについて「自律的に行動し、知能と自己学習機能を備え、状況に応じて自らが判断し適応し、これまで人間にしかできないと思われていた作業を実行する新しい電子機械」と定義している。機械化や電算化が人間の仕事を奪ってきたが、より人間らしい知的な分野に切り込んでくるだけに、スマートマシンが本当に機能したら、破壊的な革命をもたらすことになる。
本書は、スマートマシンの概要やトレンドのほか、何かと話題のドローンや自動走行車、ウェアラブルも詳しく取り上げていて、すべてのモノが賢くなっていくことを予感せずにはいられない。果たして、スマートマシン時代は、人間が希望をもてる未来となるのだろうか。その視点で読み進めると、より近未来を実感できる。(亭)
『スマートマシン』
林 雅之 著
洋泉社 刊(1400円+税)
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