米デルから、米EMCを買収することで合意したという発表がありました。その額、約670億ドル、日本円にして約8兆円。報道によれば、IT市場のM&Aとしては過去最大規模とのことです。ストレージメーカーとしてのEMCだけでなく、この買収で手に入れることになるヴイエムウェアの仮想化技術とクラウドサービスをはじめとする幅広い製品・サービスには、それだけの価値があるということなのでしょう。

　デルは近年、トータルソリューションプロバイダを標榜して企業買収を繰り返し、エンタープライズ向けのビジネスに注力していますが、少なくとも日本国内では、そうしたポジションを確固たるものにしたとはいえない状況です。EMCの顧客基盤を手に入れることで、エンタープライズのアカウントとの接点ができるという意味では、トータルソリューションプロバイダとしてのプレゼンス向上を後押ししてくれる効果が期待できそうです。いずれにしても、デルがEMCの資産をどう使いこなそうとしているのか、あれこれ妄想が膨らむところです。

　これに先だって、デルの日本法人にも大きな動きがありました。社長交代と副社長の就任。グローバルでの方針と同じく、エンタープライズ向けのソリューション提供に本腰を入れるとともに、パートナービジネスも一段ギアを上げて加速させていこうという意思がみてとれる気がします。（本多和幸）

【記事はこちら】
＜トップインタビュー＞デル　代表取締役社長　平手智行
デル　真のトップベンダーに脱皮できるか　新たな経営体制にみるパートナービジネスへの「覚悟」