今日のひとことWeb版

愛が強すぎて……

2015/10/06 15:26

 具体的な指標は手元に持ち合わせていないのですが、スポーツビジネス、とくにエンタテインメントとしてのスポーツをどう収益化するかというノウハウにおいて、日本が決して世界の先頭を走っているわけではないというのは、多くの人に同意してもらえるのではないでしょうか。プロ野球やJリーグなどは、各球団・クラブが努力して観客動員数を増やすという成果を挙げているケースも多々あります。しかし、米国の4大プロスポーツなどに比べると、人口の差をさし引いても、ビジネス規模には相当大きな格差があります。さらに、興業としてある程度のビジネス規模をもつ競技の種類も、日本では野球、サッカーくらいで、多いとはいえない状況です。

 スポーツビジネスをITで支援するという動きは、近年、にわかに盛り上がりをみせており、ERPベンダーから総合ITベンダーに脱皮しつつあるSAPジャパンも、「日本にスポーツビジネスが文化として根付くお手伝いをしたい」(馬場渉・バイスプレジデントチーフイノベーションオフィサー)として、スポーツビジネス市場に本格参入しています。日本のスポーツ界では、ときに協会などの役職が天下りポストになったりして、その競技への愛情や知識がない人間が運営のトップにいるからダメなんだという論調も聞かれます。しかし馬場VPに取材した際、「いまの日本のスポーツ界のエグゼクティブは、競技に対する愛情はむしろ十分過ぎるほどある。問題は、その愛情を他者にも当然のこととして求めがちで、ライトなファンの目線で考えることが難しいこと。エンタテインメントとしてファンを新たに獲得して、コアなファンに育てていくためにはどうするかという発想や、アイデアになかなか行き着けない」とおっしゃっていたのが印象的でした。

 スポーツビジネス市場の裾野拡大は、当事者の思い入れの強さだけでは実現できません。やはり客観的な指標、種々のビッグデータから戦略を立案するためのITの力が求められているということなのでしょう。(本多和幸)

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Sports×IT ビジネスシーンだけじゃない!クラウドやビッグデータはスポーツも変えていく!!
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2015.10.6」より
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