今日のひとことWeb版

「電力」と「金融」の取り引きに類似性あり

2015/08/06 15:26

 2016年度からの電力小売りの前面自由化を控えて、新規参入する電力小売り会社(新電力)向けのIT商材も目立つようになりました。直近ではTISが新電力向けに開発している業務システム「エネLink」に、顧客やビジネスパートナー向けの窓口となるポータル機能を大幅に拡充しています。

 電力小売りへの参入を表明する企業が相次ぐなか、電力ビジネスに詳しい三菱総合研究所(MRI)の芝剛史・環境・エネルギー研究本部副本部長は、「日本では発電と小売りの間を取りもつ卸電力市場がとりわけ未熟なまま」だと警鐘を鳴らしています。電力自由化で先行する欧州の卸売り市場では電気の「先物取引」や「先渡し取引」「スポット取引」といった多様な売買が発達しており、発電と小売りの双方の事業者のリスクを分散。安定した電力ビジネスの発展が望めるといいます。

 こうした中間的なトレーディング機構は、「高度な金融商品の取り引きと構造が似ている」(芝副本部長)。金融商品の取り引きはITの力が最も生かされている分野の一つでもあることから、ITを積極的に活用して電力小売りの全面自由化を支援していきたいものです。(安藤章司)

【記事はこちら】
TIS、電力小売り事業者向けポータルサイト構築支援サービスをスタート
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2015.8.6」より
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